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<<   作成日時 : 2009/02/20 18:49   >>

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いよいよ海外初戦。
色々な過程を経てドバイまで来たが、鼻出血等のアクシデントもあり、一時は出走断念しての帰国まで考えていたので良くここまで立ち直ったものだとブラックの回復力には恐れ入る。

秋華賞優勝後には当然エリザベス女王杯へ行くことも考えたのだが、今回と同じように調整過程での鼻出血があったことを考え『せっかくアクシデントを乗り越えてGTを勝ったのだから心身共に休ませよう』という選択をした。


その休養は良いほうに出たと思う。
しかし今年の春のレース選択をする時に迷ったのは馬場のこと。

春競馬は本当に暖かくなるまでは馬場が固い時があるし、おまけに雨でも降ろうものなら道悪実績の無いブラックはお手上げ。


そこで浮上してきたのがドバイ遠征だ。

過去の日本馬のドバイ遠征は全て3月末に行われるドバイワールドカップディへの出走。
短距離から長距離、芝とダートといった多彩なビッグレースを一日で行うという大イベントへの出走だ。

その大イベントの前に、年末から3月上旬にかけてドバイレーシングカーニバルというシリーズがある。
いわゆるワールドカップへの道という位置付け。

日本馬は本番一本でドバイに渡ってきたのだが、年末からがシーズンオフになる欧米の馬などはオフを利用して滞在。

シリーズ中のレースで勝ち抜いてきた馬が本番のワールドカップディに残るという構造だ。
最近では既にワールドカップディに選出確実という馬も、叩き台のような形で早期に入厩して出走。

重賞だけではなくハンディキャップのオープン戦もたくさん組まれているのだが、昨年のドバイワールドカップを勝ったカーリンは、何とそのハンディオープン戦を60Kgで出走して快勝。そのまま本番へ向かっている。

もちろんこのシリーズ、どの馬でも来れるわけではなく、少なくとも重賞での好走実績が無ければ無理。
各国の馬がエントリーをして、レイティングを基に選出されたトップホースたちだけが滞在競馬を許されることになる。

今まで何頭もの日本馬たちが輸送の影響が残った状態でワールドカップディ本番に出走し無念の涙を呑んでいることもあり、以前からこの滞在競馬に興味を持っていた。

今年もエントリーの案内が送られてきたのだが雨が少ない国だし、エントリー料は無料だという事もあって一応は登録。

滞在費用が全て主催者持ちのワールドカップディ選出馬と違って、自腹での費用負担が必要になるが一定の条件をクリアすれば主催者からの補助が出る。

全てのホースマンにとってドバイへ行ってで好走することは嬉しい事。
『条件が揃って、問題点がクリアできれば行ってみたい』という空気が徐々に膨らんでいった。

ただ、それはワールドカップディへ向けてのものではなく、基本的には日本が冬の寒い中で競馬を行っている時期に、その寒さを避けてドバイの前哨戦を使い、その結果次第でドバイへ残るのか、日本へ帰ってビクトリアマイルへと向かうのかを選択するというもの。

今までには無いパターンでのドバイ行きとなる。

秋華賞を勝ったレイティングからシリーズにはすんなりと選ばれた。
普段使用しているサプリメントや薬の使用もほとんどが大丈夫だと確認。

マイクロレーダーやスーパーライザー等の、厩舎で行う治療についてもOKが出た。
飛行機の予定や渡航の準備をしながら段々と日が迫る。

そこで予期せぬ問題点となったのがブラックエンブレムのインフルエンザ予防注射。
渡航するにはいくつかの伝染病予防注射が必要となり、当然日本馬は定期的な接種をされているのだが、一昨年の日本でのインフルエンザ騒動で、ドバイと日本の二国間で交わした条件が変更になっていた。


ブラックのインフルエンザ接種が、この変更となった条件の影響で延びてしまい、出国が当初の予定より遅くなることに。

やっとの事で出走レースから逆算したギリギリの日程での出発に変更した後も、経由地である香港でもインフルエンザの条件をクリアできず経由できないのでは?等々、問題が次から次へと出てくる。

かなりの問題点と条件がクリアされ、ドバイ行きが現実のものとなりつつあったのだが、最後に引っ掛かったのが負担重量。

ブラックは日本で2つの重賞を勝っているのだが、国際的にはフラワーCも秋華賞もリステッドレース(準重賞)の評価。

ルール上、GT勝ち馬だと定量+2.5Kgを背負わされるので、その判断をハッキリしてもらいたかったのだ。

以前日本から海外遠征した馬が、レース直前に他陣営からのクレームで急遽斤量を増やされたことを耳にしていたので、これがクリアできなければ無理をしていまで行けない。

一度はトップ責任者という人から『リステッド扱い』という口答での回答がもらえたが、現地に行ってから覆されるのが嫌で『念のため文章で貰っておこう』ということに。

ところが一回目の回答後にドバイはクリスマス休暇へ突入。

先のインフルエンザの件と併せて、暮れはドバイがクリスマス休暇で、年末から年明けが日本の休暇。終いには香港まで旧正月に掛かる恐れが…という話まで出てきた時は『スケジュール的に行けないかな?』と思った。

そんなこんなも関係各所の迅速な対応のお陰でクリア。
斤量に関する文章も何とか手に入れることができた。

ここには書ききれないくらい他にも色々な問題が有りはしたのだが、最後はオーナーの大英断でいよいよ出国。

初めての海外輸送だったので一頭で行く事への抵抗があったのだが、この点は小笠厩舎のアースリヴィングが行くらしいという事を早くから聞いていたので、同行する事が決定。
以来、常に助け合ってこれたのが幸いした。



ドバイ渡航の過程については写真も撮ったし、また改めて書く機会があれば良いなと思う。


到着後は鼻出血というアクシデントに、その治療過程での体調急変。
そこからの復活という書ききれないくらいの出来事があった。

今回は調子を崩してから信じられないほどのスピードで体調回復したわけだが、輸送から到着まで飛行機内でのケアと現地到着後のチェックを担当してくださったノーザンファームの鶴町獣医の存在が大きい。

獣医師が帯同しないで行われる海外遠征もよくあるが、今回に限っては輸送がかなり上手く行き、後々のアクシデント時の回復に良い影響を及ぼしたことを考えると本当に感謝だ。

ノーザンファームさんからも過去の海外遠征の経験から来る輸送時の注意点や、現地でのケアに関するアドバイスをいただき、これが体調急変時の早急な対処へと繋がって一気に回復へと向かわせる事ができた。

初戦へ向けて蓄えてきた貯金が、不測のアクシデント時に対応してくれた。
もちろん現地の獣医さんにもお世話になったのだが、レース当日の朝にチェックに来たブラックが気に入っている女性獣医さんも『Good!』と嬉しい評価。

過去に診てもらったことがある美浦の松永獣医と、栗東の田中獣医にも鼻出血から体調悪化になった時に色々とアドバイスをいただいた。

0泊3日の弾丸ツアーで、キツイだろうに2度も削蹄をしに来てくれた木村装蹄師は『ドバイって蹄には凄く良い環境ですね』と、睡眠不足の目を真っ赤にしながらも『また鉄を打ちに来たいね!』と付け加えて嬉しそうに帰って行った。

栗東から関空への過程でお世話になった輸送会社や航空会社の方達。
2頭が入ったストールを飛行機に積み込む時に、立ち会う事ができない私達関係者の代わりに『海外遠征経験が豊富だから』と無理にお願いして代理積み込みをしてくれた栗東吉田厩舎の松田全史調教助手。松田助手を快く貸して下さった吉田調教師。

ここで書ききれない多くの方達にお世話になっての出走に、この場を借りて感謝したいと思います。

出国前は『牝馬限定のGVくらいなら』という気持ちもあったが、幸か不幸か輸送をはじめいくつかのアクシデントを経ていく中で、やっぱり競馬は出走させるまでがどんなに大事なのか、自国に居ても志半ばでリタイアする馬が多いのに異国の地では尚更だということを改めて実感。

そしてその気持が実を結んで、納得行く状態で出走させられたことは嬉しい。
少ない日々でこれだけ状態を良くできたのは協力していただいた方達のお陰です。

ドバイ渡航前から、ほぼ全ての段取りを厩舎関係者が動きやすいように配慮しながらこなしてきてくれたレーシングマネージャーの田中敬太氏。

彼の存在無しには、今回の出走は無理だった可能性が高い。

『2月のドバイは雨季ではないか?』と勘ぐる私達に『いやいや雨季とは言ってもほとんど雨は降りません!』と断言しながら、ドバイ到着早々に雨が降りドキドキしていたと思うが、結局は天気も良く、今日も快晴で迎えられそう。

19日のウォッカが到着して以来ますます忙しくなってしまい、ウチの厩舎のスタッフ達からは『ウォッカが来た途端、厩舎を離れる時間が多くなって寂しくなっちゃったよー』といじくられていますが本当に助かりました。

厩舎一同大変感謝しております。
勝手知ったる日本以上に海外遠征はスタッフの一体感が大切であると再認識させられた。

さあ、もちろん日本でビッグレースを勝った勲章を持って乗り込んできたのですから負けるわけには行きません。

中間のアクシデントはあったものの状態はかなり良好。
今後も含めて常に鼻出血の不安は残りますが、自信を持って送り出せる。

指定日に獣医と採決立会いのもと行われた最終追い切りも『鼻出血を恐れずに仕上げよう』という気持でしっかりと追われた。

厩舎で調教助手が怪我をして休んだ影響もあって、調教をつけるためにドバイに帯同してくれた池田J。

何度か日本とドバイを往復しながら時々騎乗してした私だったが、その度にしっかりとした状態に変わっていくブラックエンブレムを確認。

家族を日本に置いてまで来てくれただけでなく、心を込めて調教してくれたことが有り難い。

M・キネーン騎手騎乗への経緯は前に書きましたが、前日に『騎乗したい』という連絡があり乗ってもらうことに。
大体のことは伝えて『スピードは任せる』と送り出したのですが、軽く1週回ってきて『Very Fine』と嬉しいコメント。

レース当日の朝の軽い調教(発走が22時20分なので軽く運動がてら)の時には、前日と違ってドシッと落ち着いていた。

ミックが乗った好影響?なんて思ってしまう。


日本時間の21日早朝3時20分発走。
Balanchineと名付けられたこのレースは、昨年牝馬Sun ClassiqueがCape Vardiを勝ったあとに臨んで2連勝。ワールドカップディには3連勝目でシーマクラシックを勝っている。

初回のレース回避で肩透かしをさせてしまったオーナー始め応援してくださっている皆さんに喜んでいただける結果を願わずにはいられませんが、さて結果はいかに。


ERAのホームページで30分後くらいに映像が見られるようです。


http://dubairacingclub.com/?cat=35




行けない時にはココから右側にある Race Videos をクリック
          ↓
http://www.emiratesracing.com/era/index.cfm








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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
熟読させて頂きました。
遠征決定までの経緯、渡航後の紆余曲折、本当に様々なご苦労があってここまで辿り着いた事が、すごく伝わってきました。

時間が時間だけに、レース後すぐに映像を観ることは出来ないと思いますが、起床後の朗報を心より願っております。

そしてその結果が「デューティ・フリー」(もちろん他のレースという選択肢も有りますが)でのウォッカとの初対決に…などとなれば最高ですね!
すとーむ
2009/02/20 21:36
丁寧な文章、思いのこもった内容に引き込まれながら熟読しました。自分もそこに立ち会っているかの様な錯覚を起こしてしまいました。ブラックエンブレムの艶々した身体が思い浮かんできます(^-^)本当にありがとうございます。本当なら私のようなファンには伝わってこないことです。ただ ただ心から応援したいです◎
スズラン
2009/02/21 00:03
あと2時間後にゲートが開くんですね
全ての人の思いと情熱が実を結ぶことを、心から願ってます!
飛鳥
2009/02/21 01:20
映像を見ましたが…。
何が起こったのでしょう、とても心配しています。
がんも
2009/02/21 03:54
すとーむさん、スズランさん、飛鳥さん、がんもさん、皆さんコメント有難うございました。結果は残念でしたが、準備の段階から考えうる万全な態勢を整えたつもりなので悔いはありません。しかし鼻血には正直参りました。書ききれないくらいの詳細はいつかアップします。
調教師
2009/02/23 18:41

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