補足

 ブラックエンブレムが追い切りをしない!!

この件について想像通りのような、想像以上のような反響です。
ブログへのコメントは概ね好意的な意見が多いようですが、全ての人達を納得させる事は不可能ですし、馬券を買うファンに対してきちんと説明する必要があると思ったまでで批判的な意見も止むを得ないと思っています。

ただ、少し舌っ足らずだった気がするので補足を。

まず飼葉食いについては今のところ心配ありません。
もちろん馬体にも問題はありません。

ではなぜ追い切りをしないのか。
これは言葉では説明しきれないのですが、簡単に言うと馬は機械ではなく生き物だということです。

感情があり、その感情にも左右される馬体というものもあります。
そのバランスが崩れるだけで競馬には微妙な影響が出ます。

追い切りを行えば勝てると言うのならバンバンやります。
ステッキを入れて手綱をしごいてやればやるほど良くなるのなら追いまくるでしょう。

いくつくらいの時計で追い切りをすれば勝てるのか誰も答えは知りません。
そういう簡単でないところが競馬の難しさで面白さでもあります。

追い切りをしないことは前走前には考えていて、前走後直ぐにマスコミの皆さんとブログには公開させていただきました。

もちろんオーナーの御理解も得る事ができました。

やらないと決めていたはずなのに、他の出走馬がバリバリと追い切りをやるのを見ると心が騒ぎます。

ただ、ブラックエンブレムとの縁を取り持ってくれたと言っても良い、半姉のロイヤールハントの一件が私の逸る気持ちにブレーキを掛けてくれています。

ロイヤールハントは牧場時代から手が掛からないという話で、入厩してからも私達の手を煩わせることがありませんでした。

しかし、私達が最初から感じていたのは『我慢強い』ということ。
背中に跨ると『動じていない』と言うよりは『我慢している』のがヒシヒシと伝わってきました。

その我慢の影響だったのか『絶対勝てる』と自信満々で臨んだ未勝利戦で心臓麻痺を発症。
返し馬の後で発走地点に集合した時に騎乗していた松岡Jは担当厩務員に『3連勝くらい行けそうですね』と自信たっぷりに語った後の悲劇でした。

その時にも心臓麻痺特有の後肢から崩れる症状で競走を中止しながら(松岡Jは当初、後肢の故障と思っていました)再生して中山競馬場の出張厩舎まで戻ってきて、馬運車から降りるなり馬房で唸り声をあげながら倒れました。

きっと担当厩務員の元に帰るまで我慢したのだろうと私は思います。

そんなロイヤールハントの妹として、同じように我慢しているブラックエンブレムを時々感じることがあります。

これまでブラックエンブレムと接している中で感覚的なもので『いらない』のだと感じました。
調教をつけている助手も同じように感じているようです。

それが当たりか外れかは今週末にはハッキリします。

上手く行くのかいかないのか結果が出なければ分かりません。
1着以外では許されない部分もあるでしょうし、その場合は批判も受ける覚悟です。

過去にジャパンカップで日本へ入国後に一度も馬場入りをせず、運動だけで勝った馬もいました。その方法がベストだとは言い切れませんがその裏には帯同スタッフのキメ細かなケアがあったはず。

ちなみにブラックエンブレムは前走からの疲労回復後は、ほぼ毎日、角馬場での調教をかなりの距離乗っています。

馬券を勝って応援してもらえるか、してもらえないかはそれぞれ買う人たちが決める事。
でも、出走させる側の責任として情報を公開しました。
不安や憶測を解消するために・・・。

こんな話を書くと応援馬券を購入してくれる人が増えそうなので怖いのですが、そんな期待を裏切らないように頑張ります。

最後にブラックエンブレムは桜花賞目標でもオークス目標でもありません。
出走させる以上は一戦一戦ベストを尽くすというのが目標。

桜花賞も真剣です。



おまけ



 わけあって今日は東京に泊まる事になりました。
今日中に栗東に移動して各馬の状態を確認し最終調整の打ち合わせを考えていましたが叶いませんでした。

時間ができてしまったので、つい補足を書いてしまいましたがアップしていない結果が2週分。今週の出走馬も多くなるかもしれないのでこれからが大変です。

でも注目をされている以上は書く必要があるかな・・・と。
皆さんに分かっていただける訳ではありませんが、今年の桜花賞はこんな一件も含めて楽しんでいただければと思います。


しばらく忙しくてコメントへの返事は書けなくなりそうですが、レース終了後には時間を作って何らかの形で皆さんへのメッセージを書ければと思っています。
しばらくは皆さんからの一方通行となりそうですが御了承下さい。






この記事へのコメント

Pro
2008年04月10日 00:22
G1に人気馬を出す調教師はたいへんですねぇ(笑)
マイペースでいくのが小島流なので、あまり気にせずいかれるのが
得策かと、、、、、
ご本人が思っておられるより、プレッシャーがかかっているかもしれません。
テキがかかると、助手やお馬ちゃんまでかかりますよ!
マンハッタンパフェ
2008年04月10日 02:54
小島先生、お忙しい中、ブラックエンブレムによる桜花賞挑戦の詳しい説明、ありがとうございます。ここまでのファンサービスは通常、ありえないと思います。今回の計画についてブログを読みながら先生の強烈なプロ意識を改めて、感じました。この緊迫したムードの中、桜花賞に加えて、他の出走馬も勝てれば最高ですね。精一杯、応援します!
Statesman
2008年04月10日 05:58
お仕事が忙しい中、沢山の情報を書き込みいただきありがとうございます。
有力馬をG1に出走させるという重圧は、私には想像もつきません、大変なことでしょう。
更新することが負担にならないよう、無理せずに、後からでもゆっくりお待ちしています。
このブログを長く続けていただけることがファンにとってありがたいことですから。
2008年04月10日 06:56
ProさんGⅠに人気馬を出走させる以上、珍しいことをする時には説明が必要です。マスコミを通じてだと限界が有り、タマタマ時間ができたのでアップする事ができました。追い切りをしないこと自体が小島流なので心配しないで下さい。残念ながら他の管理馬の調教や馬主さんへの連絡、馬の入れ替え、そして今週は調教師会の用事と、桜花賞出走馬を見に行く暇も無く、プレッシャーを感じさせてくれる暇もありません。毎日管理馬たちの状態を観察しているのが一番幸せなのに、朝から時間を持て余してこうして返事を書けているのが辛い・・・。それに今週は馬主さんが掛かり気味になられている、日曜日中山出走予定の愛馬が責任重大なので・・・桜花賞よりプレッシャーです。
2008年04月10日 07:09
マンハッタンパフェさん追い切りを行えばここまで説明する必要も無かったかもしれませんが、まあタマタマ時間もあったので・・・。でも、追い切りやらないから『無条件で消し』という安易な判断が多くなるのは残念なので競走馬の調整の難しさや、判断の過程を公開する必要はあったと思います。


Statesmanさんご心配有難うございます。
実は有力馬をGⅠに出走させるプレッシャーというもの。調教師時代に何度か経験がありますが、私はあまり感じるほうではないようです。ただ、調教師として出走させるのは初めてなのでプレッシャーというよりは、最低限の説明責任を感じています。あとは皆さんの受け止め方にお任せますが、打たれ強いタイプなのでご心配無く。
ブログも苦痛に感じた時には止めるつもりです。今は皆さんに競馬の深さを伝える事のほうが、アップする大変さを上回っているので。
ただもう少し字数を少なくしたいのですが、深みのある競馬というのを理解してもらえるように説明するためには長くなってしまう文章が悩みの種ですね。
ZAN
2008年04月10日 10:12
はじめてコメントさせていただきます。
小島先生のブログを拝見するようになって1年程の競馬オヤジです。
ご多忙の中、丁寧な文章で判りやすくメッセージを伝えてくれる、
先生のブログを拝見するたびに、愛する競馬・競走馬に対する熱い思いを、まるで直接お会いして伺っているかのように感じられます。
先生は充分に説明を尽くされたと私は思います。大一番を控えた今は、
馬優先・厩舎優先で、ブログはたまにでいいじゃないですか!
先生の英断が素晴らしい花(桜・樫・秋??)を咲かせることを
心から願っております!!
これからもマイペースで、外野の声は無視して頑張れ小島茂厩舎!!
daikiri
2008年04月10日 10:53
はじめまして。
引退したある調教師の方が以前いってました、休ませるのも調教と。
馬によって色々と替えるのが先生の仕事かと思われます(スイマセン)
応援しています、ぜひ良い結果になるよう期待してます。。
かぴたん
2008年04月10日 13:25
小島先生こんにちは。
お忙しい中、沢山のご説明を頂き本当にありがとうございます。
先生の言葉で直接メッセージを伝えていただける、このような場があるのはファンにとっては非常に嬉しいことですが先生の負担になってはいけないと思います。先生の負担にならないペースで更新していただければ十分です。気長に待ってますので無理なさらないでください。
また、競馬なので勝つのが1番だとは思いますが「好きな馬を応援する事自体が楽しい。なによりも無事にレースを終えて欲しい」と私は思っています。
かまいたち
2008年04月10日 14:11
是非はともかく、度胸ありますね。度胸と言うより勇気かな?
ライム
2008年04月10日 21:15
小島先生こんばんは
お忙しいのにブログに事細かく説明ありがとうございました<(_ _)>
私は競馬の事まだあまり詳しくないのですが、どこかで調教をたくさんやった馬の方が走ると読みました。
でも先生のブログを読んで、先生の考えのが何よりも馬の事を一番に考えてくれていると物凄く伝わって来ます。
結果はどうなるかは分かりませんが、でもブラックエンブレムの先の先まで考えてくれている、とにかくそれが私には嬉しいです。。
もちろん今回3着以内に入るのが、世間のうるさい声も静まると思うのですけど、でも何よりもブラックエンブレムが無事でいてくれればと思っています。日曜日はTVの前ですが、一生懸命応援させて頂きます。(^^)/~~~
パンデフ
2008年04月11日 01:31
いつも楽しく読ませていただいてます。今回初めて書き込みさせていただきました。
ブラックエンブレムの調教の経緯。一ファンとして楽しく読ませていただきました。自分なりには納得もしました。生き物を扱っているのだなというのもつたわってきました
桜花賞はブラックエンブレムの馬券は買わせていただくかどうかはまだ私にもわかりませんが、この週末予想する中でブラックエンブレムという有力馬を自分の馬券の中でどういう位置づけにするか予想で楽しませていただきます。そして馬券とは別でところで小島茂厩舎の今週出走の9頭すべて応援させていただきます。健闘を祈ってます!
たらふく
2008年04月11日 21:18
先生、お忙しい中、更新してくださり、しかもこのように濃い内容を分かりやすく書いてくださって感謝感激です。
 ロイヤールハントさん、馬主さん、松岡騎手のご縁を読ませて頂き、競馬はひとつの大レースのみで語り尽くせるものではなく、血の流れと、それに寄り添う皆様方の、生の営みそのものなのだと感じました。

ブラックエンブレムさんが好走してくれることは疑いなく期待できますし、今の道程が彼女の生涯にとってより実り多いものであることを信じて応援しております。

先生のような、素晴らしいホースマンがいてくれることは、ただの馬券ファンにとっても大きな喜びであり、誇りであります。有難うございます。

馬なり
2008年04月12日 00:53
初めてコメントします。モレーンレイクの一口を所有してからブログをいつも拝見しています。何事に対しても真剣に対応しておられる姿勢に頭が下がる思いです。そのような調教師の下で管理されている馬たちはさぞかし幸せだろうなと思いました。ブラックエンブレムの件ですが馬本位でありながら競馬ファンの気持ちを考えておられる姿勢にまたまた感激しました。そんな先生のご判断ですから何事にも左右されず信念を貫いてほしいと思います。補足を読みながら感動で涙が出てきました。これからも応援してます。
馬が大好き
2008年04月13日 14:23
人間の私利私欲の為に生まれてきた馬達が可哀想。
グランマ
2008年04月13日 20:49
初めてお邪魔させていただきます。今日の結果は残念でしたが、ウォーエンブレムの産駒を応援しています。補足をよんで、良い人でよかった、と思いました。少ない産駒から並外れた遺伝力で、走る子たちが出てきています。これからも応援していきます。・・・無事これ名馬・・・理想ですがそうなって行けますように・・・

                 
 
グランマ
2008年04月13日 21:10
言い忘れましたがブラックエンブレムの馬具の色など父の現役時にあやかっていらっしゃるのですか?そうだとしたら、すごーくステキなことですね?^^
2008年05月02日 21:17
ZANさん、daikiriさん、かぴたんさん、かまいたちさん、ライムさん、パンデフさん、たらふくさん、馬なりさん、馬が大好きさん、グランマさん、皆さんコメント有難うございます。
いつも様々なご意見をいただき興味深く読ませていただいています。
現在のところは概ね好意的なご意見が大半で嬉しく思いますが、私は私の立場で発信をして、皆さんが個々の感覚で受け止めていただければ良いのではないかと思っています。
今回はコメントが多くいくつかのコメントへの返信となってしまいますがお許し下さい。
ライムさんの『調教をたくさんやった方が…』というのは紛れも無い事実でしょう。しかし、どの調教師もがそれを知っていながらやらないのは何故でしょう。やはりそれは生き物だからです。沢山食べて、沢山調教をして、ゆっくり休ませるのが成長への理想形ですが、それについてこれる肉体や性格を持ち合わせているのかが問題です。飾り物でもなければ機械でもない。いや、私の知る限り機械でさえもその道のプロから見れば生きているのではないでしょうか。
2008年05月02日 21:17

馬が大好きさんの『人間の私利私欲の為に生まれてきた馬達が可哀想』というコメントには同感です。しかし残念な事に競走馬という宿命を持って生まれてきた馬たちにはそういう形でしか生き残れないという悲しい現実があります。私も本気でこの世界から足を洗う事を考えたことがありますが、それは長い間身近に接してきた馬の死に直面した時でした。
しかし、私が辞めても競馬は淡々と続く事に気付き、調教師になれば管理馬を少しでも大切に出来る可能性が増えると考え直したのです。
もちろん今でもやっていることには矛盾もあり、葛藤もありますが、競走馬という宿命を持って生まれた馬達に何ができるかということは常に考えて行きたいと思っています。馬が大好きさん も可哀想だと思われる馬達が一生懸命走る時は応援という形で力になってあげてください。


グランマさんブラックエンブレムの頭絡の色は父を意識しました。
なかなか似合っていると思うのですがどうでしょう・・・。

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